2021年10月1日。
虐待や困窮に苦しむ10代の妊婦の安全な出産を支えるシェルターとして沖縄本島に開所された「おにわ」。
私自身ニュースを見て知りましたが、少し気になったのでまとめてみました。
若年妊産婦の出産・子育てを支える「おにわ」沖縄本島内にオープン
虐待や生活困窮など困難な背景を抱えた若年妊産婦の出産・子育てを支えるシェルターとして、10月1日に沖縄本島内にオープンしました。
琉球大学病院周産母子センターと連携して産前産後の5カ月間をめどに受け入れ、退所後の生活につなぐとされています。
周産母子センターとは
妊娠・分娩・産褥の各期において、お母さんと赤ちゃんの2つの生命を集中的に管理する産科部門と、ハイリスクの赤ちゃんのケアを提供するNICU(新生児集中治療室)部門から構成されている医療施設のことを指します。
シェルター「おにわ」の対象者
このシェルターの対象は、親の虐待やパートナーからの暴力などで安心・安全に出産できる場所がない10代のシングルマザーで、定員は2人とされています。
開設時のスタッフは週5日常駐する助産師の寮母1人を中心に9人。産前2カ月、産後3カ月を目安に支援をしていくとされています。
オリオンビール奨学財団と琉球大学による活動
共同代表を務められているのは、子どもの貧困問題や若年妊娠などの調査・研究をしている琉球大学の本村真教授と上間陽子教授の2名。
同大学で福祉・教育・医療の視点から重層的に関わる意義を強調されており「ほっとできる、実家のような居場所」を目指しているそうです。また「今後2年半でモデル的に取り組み、行政が責任を持って支える仕組みにつなげたい」「県内で若年妊産婦支援に取り組む他団体とのネットワークづくりも進めたい」という思いのもと活動がされています。
この活動はオリオンビール奨学財団を通じ2024年3月まで2200万円の助成を受けましたが、運営費が足りず現在寄付を募っているとのことです。
シェルター「おにわ」への問い合わせ先
問い合わせはブログ「お庭日記」より可能です。
お問い合わせ先の情報の他、寄付先の情報、「おにわ」の日常について確認することができます。
10代の妊娠と沖縄の課題
実は沖縄県の若年妊娠率は2.6パーセントと全国平均の約2倍と言われています。
全国平均の2倍 沖縄県の若年妊娠率
沖縄県は出生率が全国1位として知られていますが、厚生労働省が発表した2019年の人口動態統計によると1.82%と、全国平均の1.36%を大きく上回っています。そして10代の妊娠・出産の割合も2.6%であるため、全国平均の1.1%の2倍以上というデータがあります。
厚生労働省HP:令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況
この背景には、子どもの貧困率が全国平均の2倍以上(2018年統計)という、先の大戦後から現在まで続く貧困問題が深く関わっていると言われています。
新型コロナウィルスの影響で10代の妊娠相談が急増
新型コロナウイルス感染拡大の影響で全国的な妊娠の数が減少する一方で、10代を中心に若者の妊娠相談は急増しています。
沖縄県に限らず、新型コロナウィルスによる自粛生活の影響により、若者の予期せぬ妊娠や性被害が増え、妊娠の相談が増えているそうです(厚生労働省では現在人工妊娠中絶に至る理由の背景や経緯について全国調査を実施しています)
予期せぬ妊娠と虐待リスク
2018年度の厚労省調査では54人のこどもが虐待で死亡(心中を除く)し、背景などを分析すると「予期せぬ妊娠」が13人(約24%)を占めていることがわかりました。その上で厚労省は「予期しない妊娠や養育能力が十分でない若年(10代)妊娠が虐待へのリスク要因の一つだ」と指摘されています。
さいごに
10代の妊娠・出産に至っては、様々な問題を抱えているケースが多く、特に若年妊娠率の高い沖縄県では社会問題となっているそうです。
こうした背景もあり、10代シングルマザーのシェルター「おにわ」の活動が開始されたのだと理解しました。
10代の妊娠は「誰にも相談ができない」「どうしたらよいのかわからない」という場合が多く、また金銭的にも余裕がなく悲しい事件へと繋がってしまうケースが多いと言われています。今回の出産前後の10代の悩めるシングルマザーをサポートするという活動は大変意義のあるものだと感じています。
私自身実際に「10代で予期せぬ妊娠」を経験しましたが、近く相談できる家族や友人がいなかったらどうなっていたか想像もつきません。この活動を通じて1人でも多く不安を抱えたシングルマザーが救われることを祈っています。
誰にも言えない思いがけない妊娠をした方へ(全国妊娠SOSネットワーク)
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